〜クマソ戦の後だと思ってください。※優鉢羅の性格が捏造だとか今更気にしちゃ駄目!〜

「ほんっっっと、失礼しちゃうよねえ!」

と、憤る緋勇龍麻子(偽名)。何故こんなに彼女(仮の姿)が憤っているのかというと、先日戦ったクマソの所為だ。

「こんな可愛い女の子(自称)捕まえといて、お前は女とは思わねえ…だってよ? どうなのよ、これどういう事よ。」

思い出したのか尚怒りを露わにする緋勇。

「女の子を前にしてそれは無いよねー。クマソ、酷い!」

同じ女性(緋勇を女の子と信じている)の伊涼も同じく憤慨する。

「俺だってさあ、たまにはこう、「お嬢さん、お茶でも如何ですか?」とか言われてみたいよ。ほら、女の子だし。」

「あはは、龍麻子ちゃん。随分とベタな例え出してくるね。…あっ、でもほら、何だっけ。あの少年には可愛いって言われてたじゃない。」

「ああ、閻婆ね…。可愛いって言われてはないけど、俺の女になれ的な事は言われたかなあ。…思えばあれが唯一女性扱いされた時だった…!」

「もしかして龍麻子ちゃん、護ってもらいたい願望でもあるの? ふふふっ、 やっぱり龍麻子ちゃんも女の子なんだねー! 可愛いなあ!」

「あ、いや。どちらかと言うと俺は護ってもらう側でなくて、むしろ護ってあげたい派。この鍛えた拳と筋肉でっ!」

と言うなりむんっとポーズをとる緋勇。

「えっ…ガチムチヒロイン?」

流石の伊涼も多少引く。と、そこへ勧請師である矢村がやってきた。

「こら伊涼。緋勇は先の戦闘で疲れてるんだ。余り邪魔するんじゃない。」

「なによう。邪魔なんかしてないわよ。普通に女友達同士、お話してただけじゃない。ねー? 龍麻子ちゃん。」

「ねー。」

デレ、と表情を緩ませながら鸚鵡返しで返事をする緋勇。

「全く…。緋勇も余り伊涼を甘やかさないで欲しいところだ。」

はあ、と大きなため息を吐きつつも仕方がないと煩く言うのは諦めたらしい。

「まあまあ。矢村くん。俺はこちらの世界に一人で来たんだし、逆に伊涼ちゃんが話相手になってくれるから全然寂しくないんだよ。
むしろ助かってるのはこっちだよ。」

「龍麻子ちゃん…!」

「勿論、矢村くんが遊びに来てくれるのも凄く嬉しいけどね。」

と、此処でラブハンターとして鍛え抜いた笑顔を矢村に向ける。この笑顔でどんな人でも(特に京一とか劉とか)落としたという伝説の
無敵スマイルだ。

「そうか。」

だがしかし、微笑は浮かべたとはいえ、矢村の返事は普段のそれとは変わりないものだった。

「……!?」

逆に表情を強張らせる緋勇を見て「どうしたの?」と心配する伊涼。何でもないと言ってその場は流れたのだが、その日の晩――、

「優鉢羅…。俺、腕が鈍ったかもしれない。」

緋勇が珍しく深刻な顔をしているものだから、優鉢羅も気になったのだろう。

「どうした? 戦闘で怪我でもしたか?」

と珍しく心配してくれた。

「いやあ、俺…ラブハンターじゃん?」


あ、これ多分どうでも良い事だ。


即座に悟った優鉢羅が黙る。黙り込んだ優鉢羅を気にせず話し続ける緋勇。


「結構この笑顔には自信があったんだけどね…。矢村くんには一向に効く気配が無くて。……はっ! やっぱり俺って女性として
そんなに魅力が無いのかな?」

「男だろう、お前は。」

ツッコミだけは律儀に返す。


「何でかなあ…。はあ、自信無くすよ…。」

がっくりと肩を落とす緋勇。かなりどうでも良いと思うのだがこのままの状態でいられるのもかなり鬱陶しい。
全く…と優鉢羅は一つ息を吐くと、緋勇に向かってこう言った。

「……お前は友人を己の小手先だけの技量で魅了して嬉しいか? 勧請師やお前の元の世界の友人達もお前の人となりを見て
友だと認めてくれたんだろう? お前はどうなんだ? 結局うわべだけの付き合いなのか?」

はっ…と顔を上げる緋勇。

「そっか…、そうだよね。矢村くんや伊涼ちゃんが友として側に居てくれるだけで嬉しいのに、俺ったら一体後どれだけ深い関係を
望んでいたんだろう。」

「おい…深い関係って言い方、誤解を生むぞ。」

「俺、やっぱり心のどっかしらで京一達に会えなくて寂しかったのかなあ。矢村くんや伊涼ちゃんも側に居るのに。」

そう言って少し照れ臭そうにへへッと笑う。

「…まあ、人間は一人で全部背負えるようには出来ていない。たまには勧請師達にも弱音の一つでも零してみたらどうだ。
恐らくあいつ等もそれを望んでいると思うぞ。…友なんだろう?」

「優鉢羅…。」

思いがけない励ましに緋勇が言葉を詰まらせる。

「はあ…、柄にも無い事を言った。俺には人間の“心”なんぞよく分からんからな。後は自分でどうにかしろ。」

一気に喋って疲れたと再度いつもの調子で口を閉ざす優鉢羅を目を潤ませながら緋勇が見る。

「ありがとう、優鉢羅! 今、俺の中で優鉢羅への好感度がグングン上がった!」

「好感度って何だ…。うわ、余計な事をしたなあ。……ああ、いつものお前の調子が戻ったな。“氣”も大分落ち着いている。」

「……うん。ふふ、流石優鉢羅、俺のマイフレンドだよね。」

緋勇が頬を好調させながら嬉しそうに言うと、反面、優鉢羅は例の冷ややかな顔で、

「いや、別に俺とお前は友じゃない。」

とサラリと言ってのけた。

暫く緋勇が隅っこで体育座りしながら一人ぶつぶつ言っていたのを優鉢羅は黙って見ていたという。


後書き
ひ ど い (苦笑)
符咒封録で女性バージョンも選べる割には殆ど(というか全くと言っていい程)女性扱いされない緋勇と、これまたどれだけ感情入力
愛だのなんだのにしても友情が全くぶれない矢村。どんだけ伊涼ちゃんしか見えてないの…ってのをネタにさせて頂きました←こら
まあいきなり女性扱いされまくっても逆に怖いですが(笑)というか緋勇は例えヒロイン扱いされても戦闘でガンガン前に出て行きそうですね。
で拳でボコボコ殴ってそうですね!

ちょい真面目な事を優鉢羅さんに言わせてみせましたがオチは酷いですね^^;
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